前々回の記事『セミナーへの参加は重要ではありません。行かなくても大丈夫です。』では、セミナーへは参加しなくても大丈夫という個人的な見解を書かせて頂きました。
じゃあ、治療方法を学んだ事がない人は、どうやって技術を習得すれば良いの?と思うかもしれません。
結論から言うと、「まずは教科書で学びましょう!」です。
まずは、ひたすら文献や書籍をあさります。もちろん、手技の解説をしている資料などでも良いと思います。
必要な情報がどこにあるかを探すのも、医療従事者のスキルの一つです。
セミナーに行って、手っ取り早く習いたいと思う人もいると思いますが、自分が求めていること(知りたい事)を教えてもらえる可能性は決して高くありませんので、まずは自分でひたすら調べるという事が大切になります。
最初のうちは、すぐに答えにたどり着かなくても、能動的にひたすら調べていく事が、今後も成長し続けるためには重要だと思っています。
断言します。臨床でつまづいた時、だいたいの事は教科書が教えてくれます。
何事においても、経験もスキルも知識もない時の一番最初の課題は、「わからない事がわからない」です。
理学療法士、作業療法士のみなさんは最初の実習を思い返すと、確実に自身にも当てはまるのではないでしょうか。
もちろん、僕自身にも言える事です。
分からない事が分からない期間
セミナーに参加して失敗するケースの多くは、分からない事がわかっていないのに、なんとなくの不安感から受講してしまったケースです。
単発でセミナーに参加する事は問題ないですが、個人的な意見としては高額な手技系セミナーは、この状態では絶対におすすめしません。
なぜなら、自分が何に困っているとか、何が分からないのかが明確になっていないからです。
一方的に聞き入れるだけで、疑う事(批判的吟味)もできずに、鵜呑みにならざるえません。
料理が一切できない人に、特殊な調理方法を教えてもピンとこない。
料理を全くしないため基礎の基礎が分からない人に対して、特殊な調理方法を教えても、それがどう特殊な調理法なのかさっぱり分かりません。
例えば、ある素材の特殊な切り方を習ったところで、
- この切り方は従来の方法とどう違うのか。
- この切り方での注意点は何か。
- どういった時にこの切り方を選択すれば良いのか。
なんて事は分かりません。
この特殊な調理法に対して深掘りするような質問もできず、ただただ鵜呑みになるだけです。
この人の場合、まず学ぶべき事は、「特殊な切り方」ではなく、「通常の切り方」からです。
だいたいの事は教科書や文献にのっている。
わからない事があると、誰かに教えてもらいたいと思ってしまいがちですが、知りたい事はほぼ教科書や文献などに載っている事がほとんどです。
ただ、どこに載っているかが分からないだけです。
ちなみにですが、セミナー講師陣が講習会で使う資料を用意する場合、その多くの引用元は、教科書や文献などです。
つまり、セミナーに行かなくても、セミナーで講義されるような事は教科書から学べるわけです。とりあえずのラインは確実に教科書で十分です。
必ずしも、本を買えと言っているわけではありません。
病院にあるものでも良いと思いますし、先輩や同僚から借りられるものでも良いと思います。
出身校が近くにある場合は、図書館に借りに行くでも良いと思います。
大学の図書館や専門学校の図書館は、卒業生に関わらず無料で解放している事も多いので、まずそういった無料で利用できるものを上手に使ってみて下さい。
もし、購入する以外で利用できるものがあるなら、どんどん利用するべきです。
そこで手に入らないものや、どうしても手元に置いておきたいバイブル的なものが見つかれば、購入すれば良いと思います。
ちなみに、購入するにしても、高額なセミナーと比較すると格安だし、1回の飲み会代や食事代だと考えれば、どうにかなるはずです。
病院で予算を組んでくれるところだったら、毎月の書籍購入費や文献類の購入費として捻出してもらう方法もありますので上司に相談してみても良いかもしれません。
同期がいれば、それぞれで購入したものを共有するのも良い方法ですね。
「全く何もできない」と、悩んでいる場合はとりあえず人から習うのもあり
後輩療法士の中には、なかなか自信を持って介入する事ができずに、時々涙目になっている若手療法士もいました。
人の健康や病に関わる仕事というのは、正直とてもプレッシャーがかかります。
このような時は、難しい事を言われてもよく分からず、余計に混乱してしまうので、手っ取り早く介入方法を学ぶのもアリだと思います。
治療手技(方法論)にこだわりすぎて視野を狭めてる人は勿体ないですが、
どう介入すれば良いか分からず二進も三進も行かなくて、
隠れ鬱状態になるくらいなら方法論を手っ取り早く教えてくれるとこで学んでみる事はありだと思います。何もできない無力感はセラピストの成長を止めてしまいますから。
— たなはら (@boooo_boo_jp) 2019年5月18日
教科書で能動的に学ぶ事ができる人はまずは教科書から。
二進も三進もいかない状態で余裕がない人の場合は、シンプルに方法論を習うとか、真似するだけでも良いと思います。
ただ、忘れてほしくないのは、介入により少し良い反応が出るようになってきたら、今度は自分自身の介入をしっかりと見つめていく事です。
ここは、前回記事『小手先の治療技術より「再評価力」がもっと大切です。』と関連する部分なので、まだ読んでいない方は一度目を通して頂けると嬉しいです。
最後に、、、時間をかけて調べるって、面倒で一見遠回りでも大切な事
「分からない事は、すぐに聞いた方が良い!」この言い分も分からなくはないのですが、
できる事ならまずは、自分で徹底的に調べ倒してみる事です。誰かに答えを聞くのはその後からでもできます。
これが、「欲しい情報にすぐにアクセスできる」という一つのスキルになるはずです。
僕が学生の頃、生理学的な事を調べたいのに、解剖学書をひたすら調べていた事があります。
今思うとバカだなと思うのですが、この繰り返しによって、
「どこにどの情報が載っている」が分かるようになるんですね。だから、時間をかけて調べるって、面倒で一見遠回りでも大切な事だと思います。
— たなはら (@boooo_boo_jp) 2019年5月18日
この記事を書いた人
たなはら (理学療法士)
twitter:@boooo_boo_jp
理学療法士のお仕事をテーマに「めでぃまーる」に寄稿しています。
新人〜若手療法士を対象に書かせて頂いています。良かったら他の記事も読んでみて下さい。最新記事のお知らせは、twitterからご報告致します。
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