はじめに
毎年1人万人以上の新しい理学療法士が誕生し
働く領域や場所の選択肢が増え、
キャリアについて悩みを持つ人が年々増加しています。
・就職前の最終学年
・少し慣れてきた1年目後半
・節目の気がする3年目後半
各タイミングでこのような話題は尽きることがありません。
「どの職場で?」
「何をしようか?」
自分は何かしたいか?どの分野を勉強しようか?
息詰まった時は、
『視点を変える』
『視野を広げる』
ことでが良いきっかけになることも多いです!
□ ”キャリアの考え方”の視点を増やしたい
□ 日本の医療現場って普通でしょ!?
□ 日本だけが選択肢じゃないでしょ!
今回の記事を通して、
自分が「”何を”するか?したいか?」
自分視点で考えることも重要だけれど
「”誰に”対して?何が求められるか?」
相手視点で考えることはもっと重要であり
今の職場(日本)の当たり前が
当たり前ではないことを感じて考えるきっかけになれば幸いです!
私自身の経験や思い
少し個人的な経験などを書いていますので
興味のない方は、本題の【事例1】までお進みください。笑
私自身、2つの組織で様々な環境で患者、利用者、顧客の皆様と関わらせていただきました。
- 回復期病院
- 急性期病院
- 外来リハビリ
- 訪問看護Ⅰ5
- 訪問リハビリ
- 自由診療
理学療法士としての知識・技術は同じでも
求めれられることや表現の仕方が少しずつ違う印象があります。
まだまだどの環境が自分に適しているのかわかりませんが、
今できることは
目の前の方のニーズに応えられるよう
日々研鑽を重ねることだと思っています。
これまでの経験や尊敬する方々への相談
自分自身、”キャリアカウンセラー”の勉強をする中で
自分が「”何を”するか?したいか?」を考えることも重要ですが
”誰に”対して提供するか?を考えることはもっと重要だと思うようになりました。
そんな私が、海外に興味を持ち
多くの出会いや家族の協力の中で、
中国西安という地で臨床をすることができていますが、
今回は、そこで感じる部分やその他の国の情報をまとめてみました。
少し視野を広げ、日本だけでなく
アジアの現状やそこでできることについて
考えるきっかけになれば幸いです!!
前置きが長くなりました
早速、本題に入り紹介していきます!!
各国を3つのポイントで整理!!
・外部要因
・内部要因(主に理学療法士)
・日本にできることについて
※情報は、各国でも地域差があるのでご了承ください
【事例1】中国🇨🇳
外部要因:少子高齢化と健康中国2030
- 寿命:男性75歳 / 女性80歳
- 年々、食生活と衛生環境の改善で健康寿命が延長してきている
- 肥満と生活習慣病を若年化させ慢性疾患の増加を招いている
- 2016年に国の健康寿命を延伸する”健康中国2030”計画を公布
- 日本より20年あまり遅れて高齢化社会に直面する
- 健康産業を国家の経済産業の柱へ
- 予防、早期診断、早期治療、早期リハビリテーションの充実と連携を掲げている
- リハビリテーションは障害者に加え、要介護高齢者の対応も需要が広がっている
内部要因:専門人材の育成が急務
- 「リハビリテーション人材は量的にも質的にも発展途上」
- 2002年に療法士資格制度開始(PT、OT、ST)
- 現在でもリハビリテーション治療士という資格で集約していることが多い
- 養成校は、増加傾向(大学は増加・専門学校は減少)だが人数は2万人程度(国際基準人口10万人あたり30人≒中国の場合、約40万人必要と推計)
- 卒業後は医療機関などで1年間の研修期間を経た後、中国国家衛生計画委員会が実施する資格試験に合格することでリハビリテーション治療士(さらにその後の試験で「師」)の資格取得
日本にできること:専門人材の育成
- 日本は中国より20年以上先駆けて理学療法を発展させ、高齢社会に対する課題対策も積極的に取り組んできた経験とノウハウを有している
- 各ライフスタイルに必要な専門的知識や技術(予防から急性期、回復機、慢性期)
- マネジメント的側面(仕組みづくりや人材管理など)
- 先進的な機器の臨床導入
- 医学への認識の修正
【中国の特徴】
・安静に伴う合併症リスクよりもリハビリによる悪化リスクの方が高いと考える風潮
・運動などの能動的治療より、受動的な治療が効果的という思考
具体例)
- 術後リハビリ(ACL、腰椎固定術後など)がない
- 脳卒中リハビリ、ひたすらキッキングと歩行練習をしていた
- 手術は希望していないけれど、医師に勧められたから、、、
- 小児の扁平足は、インソールの処方のみ
- 「3ヶ月で治る」と言われたからずっと安静にしていたら足が痩せて歩きにくい
数十年前ではなく、どれも2022年現在の話です。。。
【事例2】タイ🇹🇭
外部要因:安価な医療制度と急速な高齢化
- 寿命:男性74歳 / 女性81歳
- 高齢化社会への期間が非常に短い
- 日本は24年=比較的短期的、タイはそれを上回る急速な高齢化社会
- 2002年から安い医療の制度が開始となったことも大きく影響
※安い=3.5バーツ≒13円
(1バーツ=3,71円) 2022.5.23現在
内部要因:開業権あり、物理療法が中心
- 理学療法士の養成校は16校、年間500人程度が免許取得
- 2018年時点、国家試験合格者は12,431人
- 実際に活動しているのは8,000人程度(日本と比較:養成校は20分の1、人数は10分の1以下程度)
- 国家試験は年間4回
- 更新制度あり
- 開業権あり
- 対応は物理療法が中心(物理療法機器の操作もアシスタントでは不可が多い)
日本にできること:質の向上、量的なアプローチ
- 日本の理学療法士は、勤務することはできない
- 細かな対応プロセス:評価、それに基づいた治療計画と実施、説明
- 細かい書類関係:計画書の作成など
【事例3】カンボジア🇰🇭
外部要因:平均年齢が若い。外国への医療渡航が多い
- 平均寿命:男性68歳 / 女性73歳
- 元々、感染症が多く内戦も1970年から20年ほどあった
- 感染症は年々軽減傾向であり、内科系救急疾患へと変化
- ”貧困層向けの医療制度10”により医療が受けやすくなった
- 医療者数は人口1,000人あたり1,14人と非常に少ない(世界保健機関の推奨基準=2,5人)
- 検査や治療のために近隣諸国へ医療渡航する国民もいる
- 主にベトナム、タイやシンガポール(年間21万人程度)へ医療渡航
内部要因:認知度が低く人材も不足
- リハビリテーションは主に理学療法士が担う
- 養成は1987年から開始
- 養成校は3年間の準学士過程に加え、その後進学し2年間の学生課程
- 地方病院で働く療法士の6割は、看護補助や医療外分野の仕事をしている(認知度の低さや他職種の人材不足、賃金の安さなど)
- 医師の権限が非常に強くチーム医療という概念が浸透していない
- 国内における理学療法士職業的地位や価値の認識の低さは課題
- 日本免許をカンボジア保健省に登録することで直接診療行為が可能
日本にできること:直接診療や連携の重要性・実績
- 「職業的地位の向上につなげることが重要」
- 他職種連携:医師、看護師などの他職種の理解と連携方法
- 効果の実感:患者患者家族が実感できる形で実績を積み上げる
まとめ
対象者が変わることで相手視点の重要性を痛感しました。
自分視点だけでなく視点を変えてみることで発見があったりします。
日本の常識が
外国では非常識なことってたくさんあります。
また、同じ国でも地域による格差が大きいことも特徴です。
これは、国だけでなく職場でも同様のことがありますよね。
あなたの職場の常識が
隣の職場では非常識なこともたくさんあります。
視野を広げて色々な方と話したり、違う環境に身を置くことは非常に重要だと感じます
キャリアについて考える際は、
自分視点(何をするか?)も考えつつ
たまには、
相手視点(誰にするか?何が求められるか?)
も考えてみることはおすすめです!
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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【おまけ】海外に興味を持ったとき実践したこと
- 国試勉強の現実逃避で英単語学習
- 海外に行く手段を調べる(旅行、JICA、ワーホリ、ピースボート、、、)
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- JICA経験者へSNSでアポを取る
- JICA経験者の交流会へ参加
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- たまたま会った療法士の方と会う
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⇨医療関係者として海外に行きたいと決意
- 飲み会のたびに人に伝えて海外関係者と会う
- 周りの同級生、友人にも想いを伝える
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- NHK中学生レベルの本を購入
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- TOEIC結果は中学生レベル以下
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【参考資料】
▪️PTジャーナル vol.54 No.5 MAY. 2020
▪️厚生労働省
・平成 28 年度 医療施設経営安定化推進事業
海外における医療法人の実態に関する調査研究 報告書
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/iryou/downloadfiles/pdf/25fy_aizawa.pdf
▪️経済産業省
・医療国際展開カントリーレポート 中国編 2021年3月
・アウトバウンドに関する取り組み
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/iryou/outbound/area/china.html
・中国
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/iryou/outbound/area/china.html
・タイ
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/iryou/outbound/area/thailand.html
・カンボジア
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/iryou/outbound/area/cambodia.html