運動しなくても、人の身体は大量の水分を失います。1日で失う水分量は2,300ミリリットル以上です。運動したり、暑くて大量の汗をかいた場合は、さらに大量の水分を失うわけです。
食べ物と違い、水分は失った分を速やかに補給しなければ健康状態に害を及ぼします。
なぜなら、人間の体は、子供では体重の約70%、成人では約60~65%が水分となっていますが、このうち、約3分の2が細胞内に存在しています。
残り3分の1が、血液や細胞と細胞の間に存在する細胞間液となっていて、それぞれ生命を維持するために働いているからです。
体内の水分を失う危険性については別記事で説明していますので、合わせてご一読ください。
ここでは、体内から水分が失われるメカニズムについて説明していきます。
体は、運動しなくても2,300ミリリットル以上の水分を失います。
体内から水分が失われる原因の多くは、尿や汗です。しかし、それ以外にも呼吸によっても水を失っています。
ここでは、どこから水分が失われていくのかをみていきましょう。
呼吸
知らない間に失われていく水分があります。
息を吐くときに、肺から常に水分を出しているのです。ガラスに息を吹きかけると、ガラスがくもりますが、これは肺から息とともに出てきた水分がガラスについて結露したものです。肺や気道は常に湿っていて、この水分が呼吸によって、1日に約400ミリリットルも失われています。
皮膚
皮膚からも水分は失われます。体内の水分が皮膚表面に達し、1日約600ミリリットルの水分が蒸発するのです。知らないうちに、合わせて1000ミリリットルもの水分が体から失われているのです。
皮膚が乾燥傾向の人は、より実感すると思うのですが、この皮膚から失う水分量は汗ではなく、皮膚が外気に触れる事によって失う水分量です。
発汗(汗)
体内の水分を失う代表格が「汗」です。
汗をかく量は周辺環境によって大きく変動します。太陽の下や、暑い室内にいると、1時間に1500ミリリットルもの汗をかく場合もあります。
おしっこ&うんち
もっとも瞬間的に大量に水分放出するのが、おしっこ(尿)です。
成人の正常な1回の排尿量は、200~400ミリリットルです。排尿回数としては、だいたい5~7回とされており、1日で考えると、1,000~1,500ミリリットルを尿だけで失う事になります。
ちなみに、排尿間隔は、起きている時間に限定すると3~5時間に1回程度です。
また、便にも水分が含まれており、便からは約100ミリリットルの水分が排出されます。
つまり、合計すると、尿と便だけで、1日1,200ミリリットルくらいか、それ以上の水分が失われます。
失った2,300ミリリットル以上の水分を摂り入れる必要があります。
呼吸、皮膚、発汗、排尿・排便から失われる1日の水分量は2300ミリリットル以上にもなります。
これだけの水が排出されているので、それを補わなければ、体内はすぐに水不足に陥ってしまいます。
食事や水分補給によって補うのですが、必要量の1/3程度を食物に含まれる水分から摂取できるので、残りの2/3については水から摂取する必要があります。
体重の2%を失うと、すでに脱水の初期症状となっていると言われているので、やはり小まめな水分補給が重要です。
だいたいの目安としては1,500〜2,000ミリリットルが飲み水としての必要量となりますので、意識的にこまめな水分補給を行うようにしましょう。