腰痛の現状
「腰痛」「腰部痛」とは、腰(広義では殿部や骨盤帯領域も含む)に痛みを感じる状態を指す言葉です。
人口の9-12%が腰痛を抱えていて、25%の人々が過去1ヶ月以内(任意の時点から)に腰痛を経験しているという統計的データがあります。
また、およそ40%の人々は人生に一度は腰痛を経験するとされていて、この割合は先進国において高い傾向を示し、80%程度と言われています。
明らかな男女差はなく、腰部痛が出現しやすい年齢としては、20-40歳頃が多いとされています。
腰痛を最も抱えている年代は40-80歳であり、年齢が高くなるほど腰痛に困っている人が多くいます。
腰痛の分類方法
時期による腰痛の分類方法
「慢性腰痛」とか、「慢性化」なんて言葉を耳にした事はありますか?
これは、原因を指す言葉ではなく、「腰痛発症からの経過」を表す言葉です。
腰痛には、その症状が出だした頃からの期間によって、急性(6週間まで)、亜急性(6-12週間)、慢性(12週間以上)というような、発症した日からの経過で分類する方法があります。
大部分の腰痛は、発症から数週間以内には改善の経過をたどり、40-90%のケースでは6週間後までに完全に改善されると考えられています。
この回復するであろう期間を過ぎても腰痛が続いている場合を慢性腰痛と表現します。
日常生活や、仕事、スポーツをする上で、腰痛というのは誰でも起こる可能性があります。問題なのはしばらく経ってもよくならずに、生活や仕事に支障をきたす状態が継続してしまう事です。
テレビなどでも取り上げられる「慢性腰痛」が大きな社会問題となっていますが、この分類の仕方は、あくまでも発症からの時間経過であって、原因が一切考慮されていないので、同じ慢性腰痛でも、その原因は人それぞれという事に注意が必要です。
つまり、原因が異なるので対策も一人一人変わる可能性があるというわけです。
原因による腰痛の分類方法
先に紹介した統計データでもあげたように、腰痛経験者は非常に多くいます。
実はこのうちの85%は原因不明という事が、有名な研究で報告されています。
医師が腰痛症を診察する方法は主に①問診、②画像検査、③身体検査(身体診察)となっていますが、この診察によって分かる原因は腰痛症の15%程度なのです。
残りの85%は原因不明で、この原因が分からない腰痛症を「非特異的腰痛症」と呼びます。腰部椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症は原因が分かっている腰痛で、「特異的腰痛症」と言います。
現在は、診断技術の向上とともに数字は改善されているという意見もありますが、それでも、「原因が断定できない腰痛」はまだまだ多いというのが現状です。
腰痛を自主トレや、自宅リハビリでケアしよう!
国民病とも呼ばれる腰痛症ですが、原因を特定できない多くの腰痛の原因は、不適切な自己管理方法や、良くない姿勢などが原因になっているとも言われています。
日頃から、予防目的の自主トレを実施したり、すでに腰痛のある方は、ここで紹介しているリハビリ方法に挑戦してみて下さい。
運動を制限すべき身体的問題(骨折や、重度の炎症、外傷直後など)がない場合は、徐々に身体活動量を増やした方が良いとされています。腰痛の経過と原因を考慮しながら自分に合った対処法で腰痛改善に取り組んでください。