治療法

自己脂肪由来間葉系幹細胞を用いた変形性膝関節の治療(再生医療)

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幹細胞とは、体の細胞や臓器などの状態(恒常性)を維持するための細胞です。人間にはもともと修復する自然治癒力が備わっています。
その治癒力の元になるのが幹細胞なのです。
幹細胞は、体の外に取り出して人工的に増やす事(数千から数万倍に増加)ができます。これを医療に応用したものが「再生医療」です。
再生医療については、以下の記事でも解説しています。

 
再生医療による治療を行うためには、厚生労働省が認めた特定認定再生医療等委員会において、その治療の妥当性・安全性・医師体制・細胞加工管理体制が厳しく審査されます。
再生医療は厳しい審査のもとで行われ、病院ならどこに行っても受けられるという治療ではありません。
全国で再生医療の審査を通過した病院リストは、以下のサイトで確認する事ができます。
PRP療法、ASP療法が受けられる医療機関検索|関節ライフ
 

膝の痛みに対する再生医療の対象

膝関節の痛みのうち、関節軟骨の損傷や、半月板損傷、滑液包炎などと診断された場合は、再生医療を提供する病院にて、治療を受ける事ができます。
軟骨や半月板の治療(再生医療)は、幹細胞を関節腔内(関節の中)に幹細胞を直接注入します。
 
メスによって、大きく切開する事はなく、注射による投与のみなので、比較的小さな傷跡で治療が可能となっています。
 

再生医療による改善のメカニズム

注入された幹細胞由来の成分により、

  1. 慢性炎症を沈静化、血管内皮増殖因子により新生血管を誘導
  2. 運動時疼痛を抑えることで関節可動性が改善
  3. 軟骨面の滑走が促されると同時に、軟骨や損傷組織の再生を促す事ができます。

組織修復を促進し、治癒までの期間を短縮します。
注入した幹細胞自身も軟骨組織や靭帯組織へと変化(分化)していきます。
これにより、膝の痛みが改善していくとされています。
 

自己脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療の流れ

特に最近注目を浴びているのが、取り出しやすく、数も多い、皮下脂肪の中に潜んでいる脂肪組織由来幹細胞です。
ご自身の腹部など身体の一部を、数mm程切開し、脂肪組織を少量(20ml)採取します。これが、注射によって注入される幹細胞の元になる脂肪細胞となります。
この脂肪細胞を一旦、培養します。なお、培養するために自己血も必要となるので一緒に血液採取も行われます。
培養の期間としては、脂肪採取日から約4〜6週間ほどがかかります。
 
つまり、
一度、脂肪細胞を摂取し、培養が開始→4〜6週間後に培養した幹細胞を関節に注入
という治療の流れになります。
幹細胞が生着することで持続的な効果を期待する事ができます。
 
採取し培養した幹細胞は、一定の期間は保存する事ができるので、一回の採取・培養によって、複数回に渡って投与することが可能です。管理体制にもよりますが、目安としては約1年とされています。
 

これからの膝関節治療の選択肢に!

再生医療を提供できる医療機関の数も、治療を受ける側の患者サイドの認知度も、まだまだ普及していませんが、これからの変形性膝関節症などの膝関節治療の選択肢の一つになると考えられています。
再生医療の全てではありませんが、PRP療法などの一部の再生医療ついては、既に、多くの整形外科領域で取り入れられています。

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