「歳をとって、体力が落ちてきた。」
これは多くの人が口にする言葉だと思いますが、実は、この加齢による影響は、かなり早い時期から起こり始めていて、医学の世界では、20歳から運動機能の低下(老化)は起こるとされています。
そのためにも、症状が出る前段階から、運動習慣を持っている事は大切です。
また、病気や怪我をきっかけに、加齢による運動機能の低下が合間って急速に進行する場合もあるので、病気や怪我をした後は、元の生活レベルに戻れるようにリハビリが必要となります。
運動機能の低下とは?
体を動かしているのは筋肉ですが、筋肉が動くためには様々な組織や器官が関わっています。
具体的には、筋肉、関節、骨、軟骨、椎間板などです。そして、脳や脊髄、末梢神経といった神経系も含めて運動器と言います。
これら運動器の働きの低下が、運動機能の低下となります。
運動機能の低下が起こると、歩行などの移動や日常生活での動作や活動に支障をきたすようになったり、身体の不調や痛みを引き起こします。
「運動機能の低下」はなぜ起こる?
個人差はありますが、加齢とともに運動機能は確実に低下します。
加齢による運動機能の低下として、一般的に理解されている特徴としては、
- バランスが悪くなる。
- 腰が曲がる。
- 足腰の筋力が落ちる。
- 膝関節の曲げ伸ばしが硬くなる。
などです。
目に見えて分かりやすいのが「筋肉量」の低下
成人の筋肉の重量は、体重の約40%とされています。
個人差はありますが、20歳の筋肉量を基準に考えると、70歳くらいでは男女ともに30%程度の低下が起こると言われています。
しかし、これはあくまでも平均値であって、運動機能の低下は、全てが均一に低下するのではなく、
- 筋力だけが顕著に落ちる
- 姿勢は良いのにバランスが悪くなる
などの個人差が大きくあります。
【加齢の5つの特徴】
- 運動機能全体の低下が起こる。
- 運動機能要素により低下スピード、低下開始時期が異なっている。
- 個人差が大きい。低下が始まる年齢や低下スピードの違いがある。
- 正常老化と異常老化(病的)の区別が難しい。
- 動作や活動などの種類による影響の差が大きい。
周囲の人よりも比較的早い時期から、運動機能の低下を実感する人もいれば、高齢になっても老化を感じさせない人もいます。
しかし、90歳まではピンピンしていたのに、翌年、急激に老け込む人もいたりで、低下のスピードについても早い人もいれば、ゆっくりと進む人がいるなど、進行の時期や早さも個人差があります。
結果として、高齢になればなるほど、運動機能の開き(個人差)は大きくなる特徴があります。
ロコモティブシンドローム(ロコモ)
運動機能の低下が起こると、生活の中の自立度が低下し、介護を必要としたり、場合によっては寝たきり状態になる可能性もあります。
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、運動器の障害のために、要介護になったり、要介護になる危険の高い状態を言います。
これは、加齢だけが原因ではありませんが、病気などをしていなくても誰でも加齢によって運動機能の低下を起こすという意味で、ロコモ対策は非常に重要とされています。
大切な事は、自分の身体と向き合う事
個人差が大きい「加齢による運動機能の低下」ですが、
確実に言える事は、誰でも年齢とともに運動機能の低下は確実に起こっているという事です。
周囲と比較して一喜一憂するよりも、
自分の身体と向かって、今できる事を取り組む事が大切です。
運動機能は、しっかりと適切な方法で使ってあげる事が大切です。
それにより、運動機能の低下を遅らせる事ができます。