治療法

今、大きな注目を浴びる「再生医療」とは?

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再生医療とは?

再生医療とは、「生まれつき、あるいは疾病・不慮の事故・加齢に伴い、欠損・損傷・機能低下した組織や臓器を、患者の体外で培養した細胞や組織を用いて修復再生し、機能を補完する医療」とされています。
シンプルに説明すると、再生医療とは、生まれながら持っている「自然治癒力」を利用した治療法の事です。
厚生労働省が運営・管理する「多能性幹細胞安全情報サイト」では、少し難しい内容にはなっていますが、以下のように再生医療を説明しています。
 

多能性幹細胞安全情報サイトによる再生医療の説明

再生医療とは?
生きた細胞を組み込んだ機器等を患者の体内に移植等すること又は内在性幹細胞を細胞増殖分化因子により活性化/分化させることにより、損傷した臓器や組織の自己再生能力を活性化することで失われた機能を回復させる医療(広義)。
患者の体外で人工的に培養した幹細胞等を、患者の体内に移植等することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療。
患者の体外において幹細胞等から人工的に構築した組織を、患者の体内に移植等することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療。
引用:http://www.nihs.go.jp/cbtp/sispsc/html/saisei.html

 

厚労省による「再生医療」の定義

厚生労働省による再生医療の定義は以下の2点です。

  1. 患者の体外で人工的に培養した幹細胞等を、患者の体内に移植等することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療
  2. ないしは、患者の体外において幹細胞等から人工的に構築した組織を、患者の体内に移植等することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療

(出所:厚生労働省・多能性幹細胞安全情報サイトより)
 

従来の医療と再生医療の違いとは?

従来の医療の多くが、対象療法であるのに対して、欠損・損傷した臓器を再建させることで、疾病や損傷への根治療法が可能となります。
例えば、
膝の軟骨は、激しい運動や加齢に伴ってすり減っても自然回復する事はないため、症状が進行した場合は人工の関節に入れ替える手術が必要となっています。
しかし、再生医療では、手術で軟骨に微少な穴を開けて、軟骨の再生を促すシートを貼り付けると、しみ出した骨髄液に含まれる「間葉系幹細胞」を吸着し、軟骨が再生する足場作る事ができます。
 
シートによる方法とは違いますが、2013年4月には整形外科の分野では日本で初めて、膝軟骨の再生医療が保険適用になっています。
この方法は、患者の膝軟骨の一部を採取して、コラーゲンが入ったゲル状の物質の中で約1か月培養し、欠損した膝軟骨に移植するという治療法です。
ただし、変形性膝関節症などの退行変性疾患には保険適応外となっています。
 

再生医療は、組織を再生させる事にとどまらない

再生医療の発展により、患者や高齢者、障害者の生活の質の向上や、健康寿命の向上が予測されます。
変形性膝関節を例に考えても、症状そのものに対する治療効果はもちろん、心理面でも費用面でもこれまでの人工膝関節への置換手術を行う場合より患者の負担を軽減できる事が予測される上に、術後の管理などの制約も受けないなど、あらゆる面で従来の治療法より高いメリットがあると考えられます。
病気や障害によって大きな制約を受けていた人々が、社会復帰と生活自立が可能となったり、痛みや病気を理由に仕事につく事ができなかった人が、再び職場復帰を期待できるようになるなど、再生医療の発展は医療分野の発展のみにとどまらず、社会構造の変化を起こす事まで期待されています。
 

再生医療の日本での現状

整形外科の分野でも幹細胞移植による再生医療は大きな発展を見せていますが、まだまだ課題が多いのが現状です。
人工的に培養した関節軟骨は、従来の硬くて丈夫な質の高い軟骨細胞の域には至っていません。再生が可能な組織もまだ限られていて、組織そのものを完全に再生させる事はできていません。
また、変形性関節症によるひざの痛みを改善するためには、軟骨だけを再生してもあまり意味がありません。
例えば、損傷する前の軟骨を完全に再生できたとしても、膝に過度な負担をかける原因(膝筋力の低下、歩き方など)まで治療しているわけではない事も理解しておく必要があります。
その意味では、整形外科などの痛み治療における再生医療の分野は、これからの発展を期待する分野だと言えます。
 

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