変形性股関節症とは?
股関節を構成する骨頭や臼蓋の軟骨に異常をきたし、骨軟骨の磨耗による減少、骨の変形が生じる病気です。
症状の進行によって歩行や動作で痛みが生じ、生活に支障が出てきます。
例えば、上半身を大きく横に動揺させた歩き方(Duchenne歩行:デュシェンヌ)などの特徴的な変化が現れます。
股関節の可動域が固くなる事によって立ち姿勢が悪くなったり、あぐらをかく・椅子に座って足を組むといった動作が難しくなります。
また加齢とともに悪化することもあり、適切な時期に治療や手術などを行う事が重要になります。
変形性股関節症の症状
変形性股関節症には前股関節症・初期・進行期・末期と4つの段階があります。変形の程度によって症状も異なってきます。
前股関節症・初期症状では足の付け根やお尻、膝の上や周囲に強ばりを感じたり、歩き始めや階段の上り下りで痛みが生じてきます。
股関節の筋肉は、腰や膝に繋がっているため、腰や太もも、膝などにも痛みが出る場合があります。
進行期・末期症状では、痛みや関節可動域制限も強くなり、日常生活で支障をきたすようになります。
- 日常生活では足の爪が切れない。
- 靴下が履けない。
- 和式トイレでしゃがめない。
- 正座ができない。
- 長時間立ったり、歩いたりすることが困難になる。
などの股関節を深く曲げる動きや、捻る動きを含んだ生活動作に大きな制限が現れるようになります。女性の場合は、主婦業に支障がでます。
股関節の変形が進行すると、脚の長さにもはっきりとした左右差が出てきてます。
変形性股関節症の原因と病態
多くは女性の人に発症します。
幼少期に股関節に異常をきたした人で発育性股関節形成不全の後遺症、臼蓋形成不全などといった病気の発育障害の後遺症が全体の8割を占めています。
あとの2割は明らかな原因は不明ですが、加齢とともに変形して発症することもあります。日本人の食生活や生活様式の変化にも影響しています。
変形性股関節症の診断
変形性股関節症は症状の進行具合や、既往歴(以前にかかったことのある病気歴)などから疑われます。
変形性股関節症を疑われた場合は、レントゲン写真にて初期の変化を確認します。
症状が進行し、重症の場合はより明確なMRIやCT検査などが行われます。
診断としては、関節の間が狭くなったり、軟骨が硬くなったり、骨の異常変形で起こる骨棘(こつきょく)や骨の中に空洞ができる骨嚢胞(こつのうほう)などが認められます。
手術適応となれば、寛骨臼回転骨切り術や人工股関節置換術などが行われます。
手術
- 全人工関節置換術(THA)
- 寛骨臼回転骨切り術(RAO)
変形性股関節症の症状と似た病気や関連する病気について
- 発育性股関節形成不全
- 臼蓋形成不全
- 大腿骨頸部骨折
- 大腿骨頭壊死
- ペルテス病
変形性股関節症のリハビリ動画&解説