手術

高位脛骨骨切り術(HTO:High Tibial Osteotomy)

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高位脛骨骨切り術について

人工関節に入れ換える手術ではなく、変形の角度を矯正(人工骨を挿入)する手術です。
まず、すねの骨(脛骨:けいこつ)の内側に切り込みを入れます。次に、くさび形の人工骨を切れ込みに挿入し挟み込みます。
O脚に変形してしまった膝をもとの膝の状態〜ややX脚ぎみに矯正して、膝の内側にかかりすぎていた体重を外側に移動する手術方法です。
全置換術などと比べると、あまり積極的には行われていない手術法ですが、他の膝関節手術にはない高位脛骨骨切り術の最大のメリットは、膝を温存できることです。
もともと自分の関節なので違和感が少なく、また可動域については正座やしゃがみ込みなどの膝を深く曲げる動きも、スムーズに行える可能性があります。
また、高位脛骨骨切り術を行なった数十年後に全置換術を行う事になっても、問題なく全置換術を行う事ができます。
しかし、全置換術をやった場合の次の選択肢は、全置換術の再置換術となります。
人工関節は耐用年数が伸びてきているとはいえ、約20年程度です。
20年を越えると再置換術が必要となります。この再置換術は技術的な難しさや、患者さんの負担なども考慮して、できる事なら一生に一度で済むのが理想的とされています。
比較的若いうちから膝の変形が起きている人の場合は、高位脛骨骨切り術によって早期に対処し、可能であれば将来的に変形が進行しないようにリハビリも含めた治療を行いつつ、もし、関節変形が進行した場合でも、全置換術を行う年齢を先延ばしにできるメリットがあります。
 

術式について

手術は、骨を削ったり、損傷半月板を整えたりした後、膝の変形角度を調整するために内側からすねの骨に切り込みを入れて開き、人工骨を挿入します。
この時の方法には、オープンウェッジ法とクローズドウェッジ法と呼ばれる、大きく分けて2種類の方法があります。
オープンウェッジ法が、脛骨の内側から外側に向かって骨を切り、内側を開いて矯正し人工骨を挿入する主流の方法となっています。
クローズドウェッジ法は、脛骨の外側から骨をくさび状に切り、短縮させて矯正する方法で、ある程度矯正の角度が大きい方でも適応となりますが、侵襲が大きく負担が大きくなります。
人工骨の中には、吸収されて3〜5年で自分の骨になるものもあります。人工骨は、骨との親和性がよいチタンプレートとボルトで固定します。チタンプレートとボルトについては、手術後約1年で体内から取り出し、ボルトで開いた穴は自然と埋まるのを待つ事になります。
 

手術後の流れ

全置換術と比較して、痛みが取れるまでに時間(数カ月)がかかり、入院期間も長いというデメリットがありましたが、手術技術の向上により、入院期間も人工膝関節置換術と大きく変わらなくなりつつあります。
入院期間は、リハビリ期間も合わせて4週間~6週間程度とされています。
高位脛骨骨切り術の場合は、術後まもなくは車椅子ですが、術後1週間位から、リハビリ室にて平行棒を使用しながらの体重をかける練習を始めます。
3週間ほどで全体重をかけた歩行訓練へと進めていき、4週間~5週間で支えなしの歩行や、階段の昇降、日常生活動作などの練習を行い退院となります。
術後のリハビリ治療が完了した後は、膝を深く曲げる動き(正座やスポーツ活動)にも制限はありません。
 

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