整形外科の病気

馬尾症候群・馬尾神経障害の症状・原因・診断

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馬尾症候群・馬尾神経障害とは?

神経が炎症を起こしたり、何らかの圧迫を受けて起きる症状を、ひとまとめにして「神経障害」と呼び、この神経障害の程度が強くなると、筋力低下、感覚障害、膀胱直腸障害、神経障害性疼痛などをきたします。
馬尾神経障害(症候群)の特徴は、膀胱直腸障害を起こす事です。
排便・排尿に大きな支障をきたし、日常生活は大きく制限を受ける事になります。
 
神経は、長い期間、働きが悪くなった状態を放置してしまうと、治療してもなかなか働きが戻ってこない事があり、特に、馬尾症候群の診断が確定した場合は、できる限り早い段階での治療が必要です。

Dr.カール
馬尾神経(ばびしんけい)は、腰にある神経で、損傷を受けると、強い腰痛や下肢痛を起こしたり、排便や排尿に障害を起こす場合があります。
ここでは、馬尾症候群、馬尾神経障害の説明をしています。
 

馬尾症候群・馬尾神経神経障害の症状

下肢の神経障害の特徴である、「強い腰下肢痛がある。」「下肢の感覚が鈍い。」「足の力が入らない。」などの症状の他に、「尿が出ない。」「排便がしにくい。」などの排泄に関する問題が起こります。
他の神経障害と見極める重要なポイントが、この排尿や排便に関する症状です。
その他の症状については、馬尾神経に問題を起こしている原因疾患が何か(後述)によって症状が変わってきます。
 
 

馬尾症候群・馬尾神経神経障害の原因

背骨の中には、神経の通り道があります。この神経の通り道を脊柱管と呼びます。
脊柱管の中を通る神経には、脊髄神経馬尾神経があります。
 
馬尾神経について、少し専門的な説明になると、
「馬尾神経は、脊柱管内から椎間孔を通過して脊椎の外に出るまで、ほとんど終糸に併行して下方へ走行する脊髄神経根の束」となります。
この束になっている形が馬の尻尾に似た形をしている事から、この部位を馬尾(馬尾神経)と呼んでいます。
 
この馬尾神経に障害が起こるような、外力(圧迫)や炎症が起こる事により、馬尾神経の機能に障害が起こり症状をきたします。
 
脊柱管を狭くする病気が、馬尾症候群の原因となる主な整形外科疾患です。
脊柱管(背骨の中にあるトンネル)の中を通る神経が圧迫されると、その圧迫される位置(どの神経を圧迫するか?)によって、種々の症状が出現します。
 
腰の位置には脊髄はない為、腰部椎間板ヘルニアでは脊髄が圧迫を受ける事はなく、神経根(馬尾神経を構成する神経)が圧迫を受けます。
例えば、腰の部分で椎間板ヘルニアが起こると馬尾神経障害を呈する可能性が出てきます。その他、腰部脊柱管狭窄症なども、馬尾症候群を引き起こす可能性のある原因疾患です。
中には、骨腫瘍(がん)などが脊椎転移し、腫瘍組織が馬尾神経を圧迫している場合もあります。
 
これらの原因疾患により、神経を強く圧迫したり、そこで炎症が起こると、馬尾神経由来の神経障害性疼痛が出現するようになります。
 

馬尾神経障害、馬尾症候群の診断

馬尾症候群の診断は、まずは問診によって、以下の症状が出現していないかを確認します。

  • 強い腰下肢痛がある
  • 下肢の感覚が鈍い
  • 足の力が弱い
  • 尿が出ない

このような症状が出現している場合、神経学的検査(筋力テスト、知覚テスト)や画像検査、膀胱機能検査などで「馬尾障害」の有無を診断します。
 
神経学的検査は、神経の機能がしっかりと働いているかをチェックする検査で、レントゲン撮影や、MRIなどの画像検査は、神経の働らきが悪くなっている理由として、神経を圧迫したり、神経の通り道を細くさせている構造的な異常がないかをチェックしています。
 
もし、これらの検査所見が一致すれば、診断は比較的容易な整形外科の病気です。
原因として膿瘍や転移性腫瘍が疑われる場合には、血液検査や内臓疾患の有無まで調べる必要があります。
馬尾神経障害と診断された場合は、筋肉に対するマッサージなどでは解決しませんので、適切な治療を受ける必要があります。
 

馬尾神経障害、馬尾症候群の治療

腰部椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症によって圧迫を受けている場合は、それぞれの治療により馬尾神経の圧迫を軽減する手術をできるだけ早く行わなければいけません。
急性の腰椎椎間板ヘルニアや硬膜外血腫、脊椎破裂骨折などが原因の馬尾症候群は、24時間経過すると神経症状の回復が不良とされていて、緊急手術が必要になります。
一方、感染や血液・内臓疾患がその原因であれば、並行して原因となった疾患の治療を行います。
馬尾神経症候群、馬尾神経障害は、何が原因で起こっているかによって選択する治療法が大きく変わってきます。
 

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