当記事は、セミナーに参加した方々が、「参加したままで終り」とならないように、めでぃまーるからのセミナー受講生へのサポートコンテンツという位置付けで制作されています。編集部による一部注釈を加えたり、配布されなかった情報・資料などを掲載していますので、セミナー受講生は、配布されたセミナー資料を振り返りながらご活用ください。

ACL術後リハビリテーションシンポジウム【2018-7-16】

ACL術後リハ 機能的動作の重要性〜リスク管理の徹底を〜

更新日:

講師紹介:比嘉 一薫先生について

比嘉 一薫
理学療法士
じのん整形外科クリニック

Dr.カール先生
比嘉先生は、ACL損傷患者に対して、手術が行われる前の術前リハと、術後2週からの外来リハを担当されています。また、高校生の部活動のトレーナーとしての活動もしています。

今回は、主にACL術後の運動療法についてデモンストレーションなども交えながら講義して頂きました。

 

導入:効果的なリハビリを提供するには?「リスク管理の徹底が大切」

ACL術後のリハビリテーションを効果的に進めていくにはリスク管理の徹底がもっとも大切という話から、本講義がスタートしました。

 

リスク管理の徹底とは、感染などのリスク管理を指しているのではなく、運動を進めていく上で、「どのように強度強度を上げていくか?」という部分でのリスク管理です。

リハ中に怪我をさせない事は大事ですが、それを恐るあまり、運動レベルを上げれなければリハビリは一向に進みません。

ゆいちゃん
そこで重要になってくるのが、運動に関するリスク管理だと比嘉先生は話します。

安全に運動のレベルを上げていくためのリスク管理ができていれば、適切なタイミングで運動強度を上げていく事ができるというわけです。

 

プロトコルは重要だが、競技特性を理解する事も大切

ACL術後リハ プロトコルの紹介

術式としては、主にST2重束となっており、割合は9割以上になります。以下が、プロトコルの一例です。

(※一部抜粋し掲載しています。)

3〜4週

  • 膝可動性 -5°〜90° →0°〜120°
  • 松葉杖歩行
  • 起立動作
  • 股関節ー体幹エクササイズ
  • セッティング、ヒールスライド、レッグカール
  • 片脚立位
  • エルゴメーター

5〜6週

  • 膝可動性フリー
  • 不安定板片脚立位
  • 1/4スクワット〜1/2スクワット
  • コンビネーションスクワット
  • 前方ランジ

7〜11週

  • ツイスティング
  • 側方・斜めランジ
  • ツイステティング〜ステップ動作
  • 片脚スクワット

3〜4ヶ月

  • ランニング
  • ジャンプ(両方、側方、後方、回転)
  • 競技特性エクササイズ

5〜6ヶ月

  • 片脚ジャンプ
  • 両足閉眼ジャンプ
  • 片脚ジャンプ(側方・後方)
  • ダッシュ、切り返し

 

運動療法時の注意すべき点は、競技特性によって変わります。

ツイスティングとジャンプを例にとって、競技特性を踏まえて考える事の必要性について解説がありました。

ツイスティング:7週〜

股関節・膝関節・足部が同じ方向を向くツイスティングという運動ひとつをとっても、競技特性を意識して行う必要があります。

バスケットや、ハンドボールなどの競技であれば、一般的な地面に前足部が接したままの方法で問題ありませんが、野球やサッカーなどのスパイクを履く競技の場合は、スパイクが地面を噛んでしまい、膝への回旋系のストレスをかけてしまいます。

この場合は、小刻みにステップを踏みながら、ツイスティングの動きを取り入れる事で、安全に運動強度を上げる事ができます。

 

ジャンプ系:3ヶ月〜

また、ジャンプ動作についても、競技特性を考慮する必要があります。

一般的にはジャンプの着地動作に求められるのはしっかりと安定して着地する事ですが、必ずしもどのスポーツでもしっかりと踏ん張る必要があるとは限らず、サッカーやハンドボールでは、プレー中にジャンプした後にそのまま倒れこんだりします。

受け身をとりながら着地する事の方が重要な場合もあります。

しっかりと踏ん張って止まれる事は大切だが、ただジャンプ後にしっかり止まる事だけをみていては適切な運動指導はできません。

 

ACL術後リハの考え方

他の整形外科疾患リハとの違いは?

他の整形外科疾患の多くは疼痛改善や、ADL拡大となれば、介入終了となる場合が多いが、ACL術後では(患者の復帰レベルによるが)、6〜9ヶ月のリハを行なっていく事になります。

目先の機能改善などよりも、これから長期的なリハビリが始まる事についての説明、復帰までの流れの確認、プロトコルの確認など、患者への説明をしっかりと行う事が重要になります。

これを怠ってしまうと、後々、方向性が分からないリハビリになってしまう可能性があります。

これからの人生、ずっと術後である事を理解してもらい、現在の症状だけではなく、長い人生を考えたアプローチ(心理面含め)が必要になります。

ただ単に早く復帰させることが必要というわけではありません。

 

プロトコルの考え方

  • 時期がきたから開始ではない(不安定な動作ではすすめない)
  • あくまでプロトコルはエクササイズの紹介
  • 進めていくうえで、プロトコルの進行が進んだり戻ったりするのは当たり前
  • 時間はかかるが基礎をしっかりする事

プロトコルの通りに進めていく事だけに必死になると、効果的なリハを進めていけません。

もし、運動レベルが合っていなければ、その前段階に戻るなど、プロトコルが前後するのは当たり前です。

 

スクワットを例にとって考えた場合

① 不安定板片脚立位

② 1/4スクワット(クウォータースクワット)

③ 1/2スクワット(ハーフスクワット)

上記(赤枠内)の下矢印部分(↓)に当たる移行段階がとても重要になってきます。

もし、ハーフスクワットに進める段階で上手くいかなくなった場合は、スクワットの運動要素を分解して、既にできている運動に落とし込む事で、この移行段階がスムーズにいかないケースの場合でも上手く対処する事ができます。

スクワットの場合だと、骨盤前傾位をとれなければいけませんが、「背臥位姿勢からの骨盤前後傾のエクササイズ」を追加したり、「四つ這い位姿勢からの骨盤の前傾を保ったスクワット動作のような運動」を取り入れるなどです。

そして、最終段階で、座位姿勢での骨盤前傾を保った運動を取り入れて、最初の目標にあった「③ 1/2スクワット」に安全に進めていく事ができます。

 

運動とメカニカルストレスやボディメカニクスに関する知識も大切

サイドステップを考えた場合ですが、つい健側方向へのサイドステップが、患側方法へのサイドステップより安全と思われがちです。

しかし、サイドステップ時の進行方向と逆の膝はknee in(ニーイン)しやすくなるため、ACLへのメカニカルストレスを考えると、健側方向へのサイドステップの方がリスクの高い運動になります。

よって、サイドステップを開始する際には、患側方向へのサイドステップから始める事になります。(右側損傷なら右側へのサイドステップ)

 

ただし、スポーツ時のあらゆる動きの中にはニーインの動きはあって、「ニーイン=悪い動き」と決めつける必要はありません。

この時は、ニーインさせない事だけが重要なのではなく、体幹が逆方向へ傾斜してしまう事によるメカニカルストレスの増大が起きていないかを確認する必要があります。

もし、「進行方向側の脚を開く」事に意識が強くなると、体幹は、軸足(進行方向と逆の脚)に体重が残りやすく、体幹の逆方向への傾斜が起きてしまいます。

よって、「進行方向に対して後ろ側の足の母指球でしっかりと蹴って下さい。」と伝える事が大切です。

ゆいちゃん
運動指導の際の注意ポイントを実際に動きを見せながら教えて頂きました。

また、症例を呈示し、比嘉先生の臨床推論についても分かりやすく解説して頂きました。

 

最後に

ACL術後患者の長い人生を考え復帰やゴール設定を行う事が大切で、早ければ早いほど良いといものではないし、「遅くなる=悪い事」ではないというお話がありました。

プロトコルを単に進める事に終始するのではなく、機能的動作を獲得できる事が大切であり、それが土台作りになります。

もし、プロトコルから逸脱した場合は、必ず何か見落としがあるはずで、再評価を繰り返す必要があります。

そして、上手くいかない時は、プロトコルを細分化し、現在できる動作に落とし込んでみるのも良い方法だと、受講生へアドバイスをおくり終了となりました。

 

比嘉先生ありがとうございました。

 

 

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