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椎間板ヘルニアのリハビリ・治療方法

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椎間板ヘルニアの治療

薬物療法、注射療法、手術療法などがありますが、神経麻痺が進行していない場合は、急いで手術をする事はなく、主に保存療法による経過観察となります。

また、症状が寛解していかない場合は、障害椎間板を見極めるためにブロック注射による治療的診断を行うのが一般的となっています。

 

神経の炎症が治める消炎鎮痛剤・ブロック注射

下肢痛の症状は、圧迫よりも、神経の炎症が問題とされています。

脊柱管内のMRI上での神経根圧迫所見は変化(改善)がみられなくても、炎症が引いていけば、強い圧迫・絞扼がなければ元の生活に戻れます。

炎症を抑える目的で、「消炎鎮痛剤」を服用したり、ステロイドを混合したブロック注射を用いて局所(腰の神経)の炎症を抑えるように働きかけるのが、薬を服用したり、注射による治療を用いる理由です。

ブロック注射は局所麻酔剤のみの場合は、炎症を抑える効果はなく、一時的な神経ブロックのみの効果となります。この場合は、仙骨ブロックであろうと、神経根ブロックであろうと、一時的な効果のみなので、責任病巣を把握するため以外の効果はほとんどありません。

単一神経根に局所麻酔を行う事によって、症状が寛解すれば、その神経根が症状の原因であったという事が明確になります(この方法での診断を機能診断と言います)。

また、どの局所麻酔剤を使うかによって、効果の持続時間が変わるので、それも加味して効果があったかどうかを確認していきます。

持続時間 効力 発現時間
プロカイン 1 1 早い
リドカイン 1.5 4 早い
メピバカイン 1.5 2 早い
ブピバカイン 8 16 遅い

また、濃度が薄ければ、感覚を麻痺させるのみで、濃度が濃ゆくなると運動麻痺が出現する。局所麻酔材が効いているかを確認する場合は、痛覚検査で確認すると良い。

ブロック注射を行う病院に勤務している療法士は、必ず局所麻酔剤の種類を確認して、予測される効果持続時間を考慮した上で、問診を行なって下さい。

ブロック効果よりも長く、効果が保たれる場合(「1週間くらい良かった」など)は、心理的な要素が多分に含んでいる事が予測されます。

 

神経因性疼痛に効く薬

プレガバリン(リリカ)が神経障害性疼痛に効果を示します。

主な副作用としては浮動性めまい、傾眠(眠気)、浮腫、体重増加があり、顕著に副作用が出る人では、酔っ払っているような感覚になり、日常生活動作もままならなくなる人もいるので転倒や車の運転などには注意が必要です。

 

椎間板ヘルニアの手術療法

  • ラブ法:古くから行われている最もスタンダードな手術法がラブ法(椎間板切除術)
  • 経皮的髄核摘出術
  • 経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)
  • 内視鏡下ヘルニア切除術
  • 椎体固定術

以下は、手術療法を考慮する椎間板ヘルニア患者です。

数ヶ月のリハビリや薬物療法などの保存的な治療法で効果がない場合や、下肢の力が入りにくいなどの「運動麻痺」に進行がみられる場合、殿部会陰部から両下肢への違和感・しびれ症状や、排尿排便に関係する括約筋の機能低下が認められる場合(膀胱直腸障害)などは手術療法が選択されます。下肢の運動麻痺や括約筋の機能低下は、重症になってからの手術では改善しにくい傾向があるので、腰部椎間板ヘルニアの諸症状の中では早急な手術が考慮されるべき症状です。

 

椎間板ヘルニアのリハビリ治療

リハビリによる保存療法

椎間板ヘルニアによる症状が強い場合に大切になるのは、日常生活上の姿勢や動作の仕方です。椎間板に過度な負担が加わりやすい「よくないやり方」になってしまっていないかをチェックして、その動作指導をする事が重要です。

問題が起こりやすいのは、座位姿勢(椅子座位、車の運転)、荷物の積み上げ動作、洗面時の中腰姿勢などです。

また、症状が強い時期は、クシャミや、咳などでもかなりの痛みが出るが、腰が曲がらないようにして、姿勢を伸ばした状態をキープして、やや上に向かってクシャミをすると痛みを増悪させずに済みます。

麻痺の影響で弱化してしまった筋肉については、自動運動が可能であれば筋力強化運動を行い、自動運動も難しい場合は電気刺激を併用して行う方法もあります。

Dr.カール
痛みが強い時は楽な姿勢で動いて、腰が持続的に曲がらないように気をつけながら動作をすると良いですよ。「悪い姿勢」と言われるような腰が曲がった状態の座位は症状を悪くする可能性があるからできるだけやらないように指導しましょう!

術後のリハビリ|後療法

脱出部位に強い圧(椎間板内圧が上がる動作・姿勢)を加えると再脱出の危険性があるので、必ず、手術医に確認をとってから抗重力位をとるようにしましょう。

手術方法や、腰椎の構造的な不安定性の有無で、後療法の進行は変わってきます。

一般的には、保存療法と同じような動作・姿勢に関する指導と、体幹筋力強化の運動などを行う事が多いですが、筋力による椎骨の固定は現実的には難しいとされています。

再発の恐れがある病気なので、姿勢・動作指導についてはしっかりと行なっておくことが重要です。手術をする事になった患者さんのほとんどが神経症状が出現しているはずです。運動麻痺がみられる場合は筋力強化運動を考慮しましょう。

 

腰部椎間板ヘルニア患者さん向けアドバイス

椎間板ヘルニアは、腰や脚に痛み・痺れがある人に対してよく診断される整形外科の病気ですが、しっかりと診察もされずに安易に「椎間板ヘルニア」という診断が下っている場合もあります。

ここで解説した記事を読んで、自己判断はよくないので、症状がある場合は必ず整形外科医にみてもらいましょう。

そこで大切になってくるのが、「しっかりと身体検査をしてもらったか?」になります。

上記で解説した「椎間板ヘルニアの診断方法」の項に詳細は記載していますが、椎間板ヘルニアは、MRI検査だけでは分からず、しっかりと身体検査をする必要があります。

ここで言う身体検査とは、反射検査用のハンマーを用いて膝やアキレス腱を叩いて反応をチェックしたり、筋力が保たれているか、感覚に異常がないかを細かくチェックする事です。

もし、身体検査をせずにMRIだけを見て「椎間板ヘルニアです。」と言われた人は、それを鵜呑みにせず、セカンドオピニオンを考えて下さい。

また、リハビリテーションに関しては、飛び出た椎間板を引っ込める事が目的ではなく、負担の繰り返しよって炎症を長引かせない事。痛みが引いたら、椎間板に過度な負担をかけない動作や姿勢のとり方を習得する事です。

もし、マッサージで症状が寛解する場合は、椎間板ヘルニアより神経症状ではなく、筋肉や関節などの問題かもしれません。

 

 

 

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